top of page

サン=テグジュペリ
星の王子さまの謎に挑戦
読書
引用するテキストは岩波書店の内藤濯訳オリジナル版『星の王子さま』です。
特に書名の指定がなく、ページが記載してある場合はこの本のページです。
【三本のバオバブ】は『星の王子さま』の謎を解き明かすためにもっとも重要なキーワードである。サン=テグジュペリ自身が【三本のバオバブ】の絵について、
「くずくずしていられないと、一生けんめいになって」 (P.33)描き、
「この本たら、このバオバブの絵ばかり、へんにすばらしくて、どうしてほかの絵は、りっぱでないのか」 (P.33)
「一度だけ日ごろの遠慮をぬきにして」 (P.33)叫ばずにはいられなかったと述べている。
『星の王子さまの世界』で塚崎氏は次の重大な警告が秘められていると指摘している。抜きとるのをのばしのばしにしていた怠け者の星を、ついに破壊させた【三本のバオバブ】の3本の具体的な数字に着目し、その3という数字は先に【ウワバミ】で指摘したドイツのナチズム、イタリアのファシズム、日本の帝国主義をあらわしたものであると解釈している。
なお、塚崎氏はサン=テグジュペリに関する内外の研究書において、この【三本のバオバブ】についてはほとんど注意が払われておらず、まれに重要性が強調されている場合でも悪い習慣に対する戒めという解釈にすぎないと指摘している。
また、この解釈の着想はそれ自体はさほど驚くべきものではなく、先入見にとらわれていない人なら、だれでも自然にこう考えられると思うとも述べられている。
しかし、塚崎氏のこの解釈は私にとって実に衝撃的であり、この解釈に触れなければ私はこの『星の王子さま』の謎解きに挑戦することはなかったと断言できる。それほどに説得力を感じた。そしてこの『星の王子さま』は、先入見にとらわれずに読み込んでゆけばさらに多くのメッセージが隠されていると確信できる書物であることを実感できたのである。
ヘッディング (小)
キーワード 【バオバブ】
bottom of page